サ高住と住宅型有料って同じくない??

介護保険

サービス付き高齢者住宅(以下、サ高住)と住宅型有料老人ホーム(以下、住宅型)って、かなり多いですよね。費用のレンジは10万を切ってくるところもあれば、20万を超えてくるところもあります。私の営業範囲内にないですが、さらに高いところもあると聞きます。

ですが、「サ高住と住宅型が実際どんなサービスなのか?どんな違いがあるか?」について、わかりやすく説明できる人はほとんどいません。

ケアマネさんも詳しく知らない人がほとんどですし、場合によってはサ高住や住宅型で働いている人すら理解していないことが多いです。

今回は、ちゃんと理解していないまま入居してトラブルや後悔につながることが多い、サ高住と住宅型について詳しく説明し、共通点や違いについてもふれていきたいと思います。

サ高住とは?

2011年に法制化された住まい類型です。

背景として、高齢者のみ世帯で賃貸契約ができないケースが都会で頻発していたことから、国土交通省が給付金でインセンティブをつけてたくさん建てました。高齢者のみ世帯が住むところに困らないようにという目的です。出発点が介護ではなく住宅問題であることを抑えておいてください。

サ高住を名乗るために必要な基準は『床面積原則25㎡(場合により18㎡)』、『バリアフリー構造』であることです。床面積の違いは浴室とキッチンが自室にある場合は25㎡で、共用設備となっている場合は18㎡です。

要介護の人が入居する想定の場合は18㎡の居室が基本で、夫婦で入居したい方や、経済的に余裕のある人ように25㎡の居室を設定している感じだと思います。

サ高住で当然に提供されるサービスは『安否確認』と『生活上の相談』のみです。なので賃貸マンションの管理人さんが日常生活上の相談に乗ってくれている状態ということですね。

サ高住では介護サービスは提供してくれないの?

「ちょっと待って、そうしたらサ高住では入浴や排泄の介助をしてもらえないの?」と思われた方、その通りです。

サ高住自体は基本的には介護サービスはしてくれません。介護サービスをサ高住の中で受ける場合は、在宅介護と同じようにケアマネさんが計画した介護保険の在宅介護サービスを利用します。具体的なサービス内容はこれまでの記事にありますのでご参照ください。

「うちの親はサ高住で介護を受けているよ」という方もいらっしゃいますが、それはサ高住に住んだことによって当然に提供される介護サービスではなく、『自宅である賃貸マンションに住んで、在宅介護サービスを利用している』状態であって、要するに在宅介護なんです。入居したら当然に介護がセットになっている介護保険の施設入所とは全く違うんですね。

なので、サ高住を運営している会社の介護サービスをうける必要はなく、サ高住入居前から利用していたヘルパーさんやデイサービスを利用することもできます。ケアマネさんも同じ人が引き続き担当することが多いです。

心身状態の変化に即時対応しやすいことから、サ高住を運営している会社のサービスに変更する場合もありますが、あくまでもそれは入居する人の希望でそうするのであって、サ高住側から促されて変更するものではないです。

このような仕組みですので、サ高住の入居にかかる費用の中に介護費用は一切含まれていません。在宅介護でも賃貸なら家賃、持ち家なら固定資産税を支払いながら、介護保険サービスを利用したらその分の費用負担をしますよね。それと同じです。

この介護費用が含まれていないことを理解しないまま入居契約をしてしまってトラブルになることは割と珍しくないです。法制化されて10年以上経ちますが本当に珍しくないです。契約書は分かりにくい文章で書いてありますが、きちんと読むことです。

住宅型有料って?

「サ高住で介護してもらえないことはわかった、なら住宅型有料なら介護してもらえるんでしょ?だって有料老人ホームって言ってるし」と思われた方、また勘違いなさっています。

住宅型有料で提供されるサービスは『安否確認』、『生活上の相談』、『食事の提供』です。

介護サービスはサ高住同様、ケアマネさんがつくった計画に沿って提供されます。

サ高住とあまり変わりませんね。サ高住ではオプション契約だった食事提供が、オプションではなくなることがソフト面での違いです。ちなみにサ高住でオプションとして食事提供をしている場合、そのサ高住は国土交通省管轄のサ高住でありながら、同時に厚生労働省管轄の住宅型有料法人ホームでもある、ということなんです。このあたりは現役ケアマネさんとか関係者以外は覚えなくても大丈夫です。

ハード面での違いは『床面積18㎡未満』、『キッチンは共用含めて設定無』、『共用浴室』といったところでしょうか。かつて同僚が住宅型有料をお客様に電話で説明しているのが近くで聞こえてきた時に、「民家を改修したりして住宅みたいな雰囲気の老人ホームです」と言っているのを聞いてびっくりしたことがあります。現役のケアマネさんでもこのくらいの認識の人は多いですので、お客様の立場で正確に理解していなくても無理はないです。

実際、多くの設備が共用であっても居室の面積が狭くても認可される類型なので、大きめの戸建てや築古の社員寮などを改修して住宅型有料を運営しているケースは多いので上記のような勘違いをしやすいのかもしれません。

介護がセットになっているサ高住はないの?

「せっかく入居するならそのまま介護もセットで受けられないの?」とか、「うちの親は間違いなくサ高住に入居しているけど、そこで全部介護してもらっているよ」という方もいらっしゃると思います。

これらの矛盾を解決しているサ高住はあります。それはサ高住でありながら、同時に『介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護、以下介護付き)』の指定を受けている場合において、あり得ます。

この『介護付き』、最初から要介護認定を受けている人のみを対象としている施設と、入居する段階では全くの健康で自立している人でも入居できて、だんだん介護が必要になったら必要に応じて介護保険を使い、最終的に一日中の介護が必要になったら当然に介護してもらえるという、皆様がお考えになっている理想を具現化している施設と両方あります。

この理想の施設を看板から見分ける方法がありまして、それは先にも示しました通り『介護付き』もしくは『特定施設(入居者生活介護)』の文字があるサ高住かどうか、ということです。ちなみにどちらも意味は同じです。法律上の呼び方が特定施設(入居者生活介護)で、一般的な呼び方が介護付き有料老人ホームです。

『介護付き』も『特定施設』も勝手に名乗ることができない表示であり、これらの指定をうけるには国が定める厳格な基準を満たしたうえで、さらに自治体の許可を得ないと名乗れません。

つまり「そんじょそこらのサ高住とは違う!」という大きな宣伝になるものですので、指定を受けていればこれ見よがしに掲示するはずなんです。

この『介護付き』もしくは『特定施設』という表示のある施設と契約すれば、少なくとも「介護してもらえると思ったら介護してもらえなかった!騙された!」というトラブルは回避できるわけです。

まとめ

サ高住と住宅型、それに伴って介護付き有料についてご説明しました。

サ高住と住宅型の違いは、居室面積と共用設備の違いです。一般的にサ高住のほうが賃貸住宅としてはスペックが高いです。その分費用も同じ地域にあれば高くなります。

サ高住も住宅型も、ご自宅にいるのと同様にケアマネさんが計画した介護サービスを利用します。どちらも一般にイメージされる介護施設とは異なり、今まで自宅で介護を受けていた人が、自宅からサ高住などに引っ越して、バリアフリー環境で生活しながら引き続き介護サービスを受けるという形です。

人によって必要なサービスは異なりますので、一律の介護料金というものはありません。サ高住や住宅型からデイサービスに行く人もいますし、ショートステイに行く人すら見たことがあります。

では、一般にイメージするような、終身の介護が受けたい場合はどうするのか、というと答えは介護付き有料老人ホームに入居するということになります。

最初から『サ高住』でありながら、『介護付き』でもある施設に入居すれば要介護度が重くなってからの引っ越しを回避することができます。

転居にともなう精神的ダメージは高齢になると無視できないものがあり、転居をきっかけに認知症を発症したり進行してしまう例は珍しくありません。

終身の介護を提供できるか否かは、施設のパンフレットや看板に明示されています。キーワードは『介護付き』もしくは『特定施設(入居者生活介護)』です。これが表示されている施設は終身での介護の提供が可能です。

本日もお読みくださりありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました