在宅で介護生活を送るうえで、多くの方が利用するであろうサービスです。
レンタルって呼ばれてたりします。法律上の呼び方は福祉用具貸与ですが、レンタルのほうが分かりやすいので、この記事ではレンタルで統一します。
買うよりレンタルなの?
要介護認定を受けている人自身の心身状態って時間の経過とともに変化することって想像できますよね。良くなることもあるだろうし、お手伝いの程度が増していくこともどちらもありそうです。
また、車いすや介護ベッド、エアマットなど機械っぽいものも、時間の経過とともにより高機能で使いやすいものが出てくることはありそうですよね。
この二点から考えて、普通はレンタルのほうがコスパ良くなることが多いです。杖や歩行器、スロープの中にもレンタルできるものがありますが、こちらもレンタルの毎月の費用が購入金額を超える前には壊れるか、購入金額を超える前に使わなくなるので、利用する人にとってはレンタルのほうがお得です。
皆様がお考えになるよりもはるかに歩行器の高さ調節部分のガタはでますし、杖の先っちょのゴムはすり減って安全に使えなくなります。
この『壊れる』には使用に支障があるレベルで壊れてしまうこと以外にも、気にしなければ使用には支障がないレベルの不具合なんかも含まれます。こんなときにレンタルだったら無償で修理・交換が受けられ、修理中も代替品が(当然無償で)提供されますが、購入してしまった場合は我慢するか、自己負担で修理するか新しく買い替えるかしないといけなくなります。
杖や歩行器、車いすといった移動に使用する道具は、心身機能によって頻繁に違うものに変わっていくものなので、正直購入には向かないと思います。
介護ベッドなどは買うと一式で数十万円してしまう上に、処分費用も高額なので完全に買わないほうがいいです。一割負担で月に1200円も払えば一式借りられるものですので、一年使っても1万5千円足らず=20年以上使わないと元がとれない(しかも故障時の修理費自分持ち)となりますので、正直レンタル一択です。
「ちょっと待ってよ、介護ベッドを買ったときに介護保険で給付を受けられないの?」
↑これもよく聞かれますが、答えは「何の給付も受けられません」となります。
レンタルできる品目って?
・車いすと、その付属品
・介護ベッドと、その付属品
・床ずれ防止用具
・体位変換器
・手すり
・スロープ
・歩行器
・歩行補助杖
・認知症老人徘徊感知機器
・移動用リフト
・自動排泄処理装置
以上が介護保険でレンタルできる品目です。この記事を読んでいる人はケアマネ試験を受験するわけではないと思いますので、上記を覚える必要は全くありません。
代わりに覚えていってほしいことがあります。それは『給付対象かどうかは自治体によって違う』ことと、『介護度によっては給付されない』ことの二点です。
理由についてもケアマネ試験を受験する人以外は覚える必要がないです。実際に在宅介護を始める段階になれば、担当のケアマネさんと契約が済んでいるか、契約してなくとも相談はしている状態ですので、そのケアマネさんと相談しながら進めれば間違うことはありませんのでご安心ください。
逆に、購入しかできない品目がある!!
以下の品目については、買った後に申請すると負担割合に応じてお金が介護保険からお金が給付されます。例えば1万円のものを買って申請すると、一割負担の人には9千円返ってきます。二割なら8千円、三割なら7千円です。
・腰掛便座(和式便器に被せて洋式トイレみたいにするもの、洋式便器の便座の上に置いて座面の高さを上げるもの)
・自動排泄処理装置の交換可能部分(おしっこを掃除機みたいな感じで吸引してくれる機械をレンタルした場合の、直接肌に触れる部分の部品のうち使い捨てのものを除く)⇒20年以上ケアマネやっていてこれを使う人を見たことないです。
・排泄予測支援機器(膀胱内の状態を感知し、排尿のタイミングを介護をする人に通知するもの)⇒同様に使う人を見たことないです。
・入浴補助用具(シャワーチェアや浴槽内に設置する台、浴槽のふちに噛ませて設置する手すりなど)
・簡易浴槽(ビニールプールみたいな浴槽)⇒これを使える人なら普通に家の浴槽を使えるのでなぜこんなものが給付対象になっているのかわかりません。ちなみにこれも使っている人を見たことがありません。
・移動用リフトの吊り具(移動用のリフトにかけて使うハンモックみたいなもの)
これらも、給付対象かどうかは自治体が決めます。というより給付対象になる具体的な商品はすでに決まっています。買ってから審査とかではないです。
また、自治体が認めている商品であっても、都道府県が指定している介護用品店で買った場合以外は給付されません。
「こっちのほうが安いから」という理由で通販、ホームセンター、メルカリなどで買った後で「介護保険が使えるんでしょ?」と言われることが結構ありますが、残念ながら何の給付も受けられません。
お客様が具体的にどの商品をどこのお店で買ったら給付されるのかを知識として身に着けることは現実的ではないですので、なにか介護に関する用品が欲しいと思ったら、必ず買う前にケアマネジャーか、お付き合いのあるレンタル業者さんに確認してください(介護保険のレンタル業者さんはもれなく給付で購入できる業者さんでもあります)。
保険が利くものなら、レンタル業者さんから買えばほとんど自己負担なく買えますし、保険が利かない商品なら、安く買えるお店で買えばいいわけです。
まとめ
福祉用具はたくさんの種類があります。
その中から体の状態に合ったもの、介護度に合ったものを選ぶにはケアマネさんやレンタル業者さんだけでなく、場合によっては医師やリハ専門職にも相談しないとうまくいかない場合もあります。
さらに、具体的にどの商品が保険給付の対象なのか(全く同じ目的の商品であっても保険が利くものと、そうでないものがあります)、保険給付の対象商品だったとして、それを買おうとしているそのお店が都道府県の指定を受けているか(通販は100%指定を受けてないです)など、お客様の立場では見分けることは不可能です。
焦って保険の利かないものを買ってしまうことがないように、必ず専門家に相談してから品物を用意するようにしてください。お金は大切です。
今日もお読みくださりありがとうございます。



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