今日は訪問看護についてご説明します。
看護師がご自宅に訪問して、療養相談や医療処置などの提供をするサービスです。今回は介護保険の訪問看護を利用する場合のお話をしていきます(ほかに精神科訪問看護がありますが、こちらは介護保険給付ではないので専門家にご確認ください)。
訪問看護は、『主治医からの指示書』と『ケアマネジャーからのケアプラン』の両方がそろわないと利用できません。
同じようなシステムのサービスは、訪問リハビリ、通所リハビリ、短期入所療養介護などでしょうか。この手間が面倒くさいと感じているケアマネジャーさんは結構いらっしゃって、訪問看護や訪問リハを計画に組み込まないケースも見かけます。
もし、ご自分やご家族に以下のようなニーズがあり、訪問看護を利用したい意向があればケアマネさんに「訪問看護を利用したい」と明確に意思表示してください。このときになぜか訪問看護と訪問介護をごちゃまぜにしている人が多いので、間違わずに『訪問看護』と言ってください。
これ、本当にめっちゃ間違う人多いので要注意です。私も何回も「訪問介護をつかいたい」って言われて、よくよく確認したら、それは訪問介護ではなく訪問看護だったということがあります。
単なる言い間違いもありますし、そもそも訪問介護と訪問看護の区別がついていない場合もどっちもあります。看護師が来るから『訪問看護』です。訪問介護はヘルパーさんです。
看護師が訪問して何をするかと言いますと、
①検温、血圧測定、血中酸素濃度測定など、バイタル測定と呼ばれるチェック
②療養上の相談援助、介護指導など
③尿道留置カテーテルの管理(特別管理加算)
④排便管理
⑤褥瘡など傷の処置など、必要な医療処置(医師の指示書に褥瘡処置が明記されている場合は特別管理加算)
⑥緊急時の対応(緊急加算算定)
だいたいはこのパターンに当てはまります。①と②は訪問看護利用者すべてに共通で、それ以外は個々の事例によるという感じです。③は膀胱に管を入れっぱなしにして排尿している方の管交換ですね。結構頻繁に交換する場合もあるので、その度に泌尿器科に行くのは難しい身体状態の方もいらっしゃます。そんなときは訪問看護利用につながることが多いです。
④は浣腸や摘便といった医療行為を行い、訪問看護が行ったときに排便させてしまうという利用の仕方です。ご家族で排便の対処が難しい場合などに週二回訪問看護が行って『強制的に』排便させてしまうという形です。
強制的といっても決してネガティブなものではなく、非常に有意義なものです。便秘も続けば生命に危険が及びます。便秘で外来に便を出してもらいに来る人も結構いるものですから。
⑤は特に程度が進行してしまった床ずれの場合に、ご家族では処置が難しいことが多いので訪問看護の指示が出ます。
⑥は在宅介護で訪問看護を利用する一番の目的ではないかと思います。具体的には『体調が悪い、もしくはいつもと感じが違うが、気のせいかもしれない。このまま様子を見ていいものか、病院に連れていく(救急車を呼ぶ)ほうがいいのか迷う』という場合に24時間看護師が電話対応(場合によっては緊急訪問)してくれるというものです。
この不安、在宅介護している人には常にありますよね。あとこういう微妙な体調不良って不思議と病院がやっていないような時間帯、夜間帯や土日祝日に起きがちです。
「迷っている間に状況が悪化してしまうかも…でも気のせいで実はそんなに悪くないのかも…」
↑私は子供が小さいときに何回もこれがありました。小さい子供だったら抱っこしてすぐに病院に行けば良いことですが、要介護の人を連れ出すのってそういう具合にはいかない場合も多いです。
これらのパターン以外にも、在宅看取りを選択した場合は訪問看護必須です。高齢者の老衰だけでなく、40歳以上の人の末期がんも介護保険対象ですので、ご自宅で最期を過ごしたいという場合は状態が安定していて苦痛がない段階から訪問看護を利用していくことを強く推奨します。
たとえ訪問診療を受けていたとしても、医師に相談をしにくいと感じている人は多いです。毎週定期で看護師が来てくれる安心感は非常に強いものと思います。
このように、医療依存度が高い人が在宅で過ごす場合は訪問看護が来てくれることで、ご本人、介護するご家族ともに不安感が大きく軽減できます。
利用するまでのケアマネジャー側の段取りがやや面倒なために、敢えてケアマネさん側が隠しているケースもゼロではないと思います。上記のような不安がおありの方ははっきりとケアマネさんに「訪問看護を利用したい」と伝えてください。
くれぐれも訪問介護とお間違いないよう。



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