有料老人ホームってどういうこと??

有料老人ホームっていうけど、無料の老人ホームなんてないでしょ?

そう思っている人ってどのくらいいるでしょうか。

お考えの通り、現在利用料無料の老人ホームはありません。老人ホームという名称でなくとも、要介護認定を受けた人が住みながら介護を受ける施設類型に無料のものはありません。

これ、『現在』というのがミソです。

実は介護保険制度が施行された2000年4月よりも前は、特養入所者の多くが『無料』で生活していたんですね。今なら安くても10万円のところが無料です。すごいですね。当時の日本は豊かだったんですかね。

つまり『無料である特別養護老人ホーム』に対しての『有料老人ホーム』だった訳です。

なんで無料で特養に入所できるのに、わざわざお金を払って有料老人ホームに?と思った方、いらっしゃるでしょう?タダなら何でもオッケー!!とは思わない人も結構いたんですね。この当時の制度だと。詳しく説明します。

 

ほとんどの方が、介護保険施行と同時に世の中に初めて介護施設が登場したと思っていらっしゃいます。これ、介護施設で働いている人も、ケアマネジャーでさえもそう思っている人多いです。

でも実は介護保険制度ができてから新たに創設されたサービスや施設類型はわずかで、ほとんどのものは介護保険制度が始まる前からあったんです。

例えば特別養護老人ホームでしたら、介護保険では『利用者の選択と契約による利用で、費用については応益負担(リターンを得るために費用を払う)』ですが、介護保険前ですと『行政処分としての措置で費用については応能負担(経済的に余裕のある人は費用負担をし、普通の人は全額税金でみます)』だったんです。

 

要するに今はご自分で気に入った施設を選ぶ⇒契約したら入所⇒介護を受けるというリターンに対してコストを負担する、という形のものが、かつては住民票のある役所に申し込み⇒役所が入所させるか否かを判断⇒行政処分として入所させる⇒費用負担についてはお金持ちからは少しお金をとるけど、普通の人は税金でみます、という形だったんです。

この、行政処分という形であることが理由で、『入所する施設は自分で決めることができない』というジレンマがあったわけです。

加えてこの時代の特養その他介護施設は、一人部屋なんてありません。基本は四人部屋で、古い施設だと六人部屋ってこともありました。トイレも学校のトイレみたいなタイプでしたので、現在のバリアフリーの車いすトイレなら使えるよってくらいの人でもオムツを使うしかないという切ない状況も普通にありました。

そもそも今みたいにオシャレでピカピカの施設ではなくて、古~い学校か病院みたいな陰気な造りのところも多かったんです。建っている場所もすごく不便な場所でした。(郊外の山の上とかありがち)

そんなところで余生を過ごすくらいなら、自分でお金を払ってでもキレイで過ごしやすい一人部屋に住みたい!という需要があったわけです。なので有料老人ホームにも当時から存在意義があったんです。

僻地にある陰気な四人部屋は嫌だからお金を出して、より良い待遇で過ごしたいというお考えも、私は理解できます。そのくらい、今の介護施設よりもクオリティが低かったです。職員は先生呼び、入所者は寮生呼びの施設もありました。

この昔の制度の時代の名残で、今でも有料老人ホームという名称が残っているんですね。現在では如何なる類型の介護施設でも有料ですので、ちょっと変ですが。

 

まあ、そんなこんなしているうちに少子高齢化傾向が顕著となり、このまま税金で介護費用を負担し続けると税制が破綻しますよね、という見込みが立つようになって、皆さんの保険料と利用した人の費用負担を税金で補助しましょう、という介護保険制度に移行していった訳です。

『今後は介護が必要になるから介護保険を作ります!』じゃなくて、『国はお金がないから介護は受ける人がお金払ってね』ということなんですよ。日本は貧しくなってしまったのでしょうか?

今日の記事はいかがだったでしょうか。また別の記事もよろしくお願いいたします。

 

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